【記事】信頼ベースの初任者研修(新潟・小学校)

ファシリテーションを軸とした効果的な指導
〜信頼ベースの初任者研修

全国の公立小・中・高等学校で働く新採用の教員を対象に、1年間の初任者研修が実施されています。そのプログラムのひとつに、経験豊富な先輩教員が指導者となり、初任者の授業を参観・指導する実践的な研修があります。平成28年度、新潟県上越市で4人の初任者指導を担当する小島章子教諭(上越市立山部小学校・ホワイトボード・ミーティング®認定講師)は、各校へ赴き信頼ベースの初任者研修を実践してきました。

ホワイトボード・ミーティング®で指導の質を高める

4月。これから始まる1年をドキドキワクワクの気持ちで迎えるのは、子どもも先生も同じです。大学を卒業したばかりで新採用の池原真太朗教諭もそのひとり。しかし実際に授業が始まると毎日はとても忙しく、子どもたちへの対応も「これでいいのかな」と悩むこともしばしばです。そんな日々に、小島教諭はホワイトボード・ミーティング®の定例進捗会議を使って振り返りを続けてきました。自らがファシリテーターとなり、オープン・クエスチョンで初任者の意見を聞きながらホワイトボードに書いていきます。

発散 今日の授業について
収束 成果と課題
活用 次につながる行動目標
助言 指導者からのアドバイス

「オープン・クエスチョンで聞いてもらうと思考が深まります。自分でも思っていなかったようなアイデアも出て、自分の授業を振り返ってからアドバイスをいただく経験がとても役立っています」と池原教諭。日々を丁寧に歩んできました。

信頼ベースの取り組みを進める

小島教諭は、担任時代の取り組みを初任者研修に活用しました。例えば「振り返りジャーナル」は、子どもたちが日々の振り返りを書き、担任がエンパワーなフィードバックで励ます取り組みです。小島教諭はこれを初任者にも緩やかに続けました。同様に「学級通信」の要領で「初任研だより」を発行。4校の初任者の授業や研修の様子、参考となる教育情報などを掲載し、初任者だけでなく、管理職や校内指導教員にも配付しました。「初任者が互いの実践を参考にして授業改善に役立てようとする姿も見られて、良い刺激になりました」と効果を実感しています。

初任者の自己選択、自己決定をサポートする

池原教諭がクラスで作文に取り組んだ時のことです。テーマは「2学期を振り返って」。考えがまとまらない子がいたので、ホワイトボード・ミーティング®の方法で聞いてみると作文が書けました。山川晃校長は「初任者は様々な指導法を吸収しようとする姿勢が大事で、そのための情報を提供するのが我々の仕事。今回のように、ファシリテーションやホワイトボード・ミーティング®を身につけると、最終的には学習者の力を引き出すことやアクティブラーニングの実践にもつながると考えています」と指導の様子を評価されています。「指導者がファシリテーターだと初任者研修は効果的に進む」。小島教諭に温かい確信が生まれています。