【記事】子どもファシリテーターの活躍(東京・小学校)

子どもファシリテーターの活躍
〜小学2年生のチャレンジ!〜

 

多摩都市モノレール沿線にある武蔵村山市立雷塚小学校。この学校で、信頼ベースの学級ファシリテーションの実践に取り組む吉岡明子指導教諭(ホワイトボード・ミーティング®認定講師)は2年間、低学年の子どもたちとファシリテーターチャレンジを続けてきました。「1年生にできるかな」。最初は不安からのスタートでしたが、今は「子どもたちは、素晴らしいファシリテーターです」と、自信をもって応えます。吉岡先生の教室の様子をご紹介します。

 
 

「楽しかったよ、2年生」

2年生の国語の授業。最後の単元は「楽しかったよ、2年生」です。この1年間の楽しかった出来事について振り返り、作文にまとめます。吉岡先生が「どんなことが楽しかった?」と問うと、次々に答える子どもたち。遠足や運動会という大きな行事に混じって、振り返りジャーナルや会社活動、授業など、日常的な活動の充実感が伝わってきます。
 
友達とふたりで話をするペア・コミュニケーションは、教室で何度も繰り返してきた取り組みです。作文を書く前に相手の意見を聞いて、ミニホワイトボードに書き、それを下書きにして作文を仕上げます。
 
「というと?」
「もう少し、詳しく教えてください」
「じゃあ、エピソードを教えてください」
 
「ホワイトボード・ミーティング®質問の技カード」を使ったファシリテーターのニュートラルポジションで、楽しかった1年間を主体的な対話で深める子どもたち。聞くのも、話すのも、とても上手になりました。
 
 

トラブルも自分たちで解決

思いが上手に伝わらずに泣いてしまったり、心が冷えると友達とすぐケンカになりやすいのが、低学年の特徴です。「最初の頃はうまくいかないことも多かったんです」と吉岡先生。しかし、粘り強く子どもたちとファシリテーターの練習を積み重ねました。
 
例えば、体育の作戦タイムも、ミニホワイトボードを囲んでみんなで上手に対話をします。自分が意見を述べた後に「どう?」と自然に他の子に意見を求めながら、丸くなって頭を寄せあい、集中して話しあう子どもたちは一生懸命です。
 
トラブルが起こった時には、「じゃ、私がファシリテーターになります!」と仲裁役が登場。ホワイトボードには、お互いの意見や解決策の文字が並び、「仲直りできました」と子どもたちから吉岡先生に報告が届きます。
 
 

 
 

子どもたちの姿から学ぶ

生活科の授業で出かけた町探検では、子どもたちがお店の人にインタビューをしました。「このお店の目玉商品はなんですか」など、事前にリストアップした3つのインタビュー項目について質問し、お店のポスターを作成。お煎餅屋さん、クリーニング店、ケーキ屋さん、パン屋さん、写真館など、たくさんの力作ポスターができました。
 
「子どもたちのインタビューが上手だと、お店の方々が褒めてくださっていた」と井内潔︎校長先生から嬉しいフィードバックをいただいて、2年生が終わりました。
 
「今は、信頼ベースの学級ファシリテーションの取り組みは、低学年から始めるのが大切だと言い切れます」。穏やかにいつまでも対話が続く。たくましく成長する。そんな、子どもたちとの愛おしい日々は、吉岡先生にたくさんの可能性を教えてくれました。