私には師と仰ぐ患者様がいます。ひとりは入退院を繰り返す高齢男性でした。夜中に時代劇を観てしまうのですが、話をよく聞いてみると「若い頃に好きだった」とのこと。「じゃあ、録画して昼に観ましょう」と提案。話をよく聞いて医師と相談し、予防的入院へと繋げたことで入院回数が減りました。やりたい看護よりも患者様の物語を尊重する大切さを教えてくれた方でした。学生時代にいただいた「あなたが一生懸命だから治療を頑張れる」と言う患者様の言葉も、大切な原点です。しかし管理職になると、現場での学びを手放していく感覚がありました。
コロナもあり、現任教育に行き詰まりを感じていた時に、ホワイトボード・ミーティング®︎を学んで、早速、師長の目標管理面談に「情報共有会議」を導入しました。30分という短時間で、ひとり一人の話を深く聞けるとともに、師長たちの物語に触れる中で、手放したと思っていた看護師としての学びが活きる感覚が戻ってきました。現在は、院内の認定講師3名で学びの場づくりを始めています。一生懸命にやれば必ず伝わる。そう信じて、これからも物語を紡いでいきたいと思います。
(認定講師リレーエッセイ第103回 2026年1月30日)


