【記事】「とりあえず」書いてみる(第85回)

 

 

 

 

 

 

「とりあえず」書いてみる

     

井上 雅章

(セイコーエプソン株式会社)

 

 

「とりあえず書くか」。まだ新人のころの緊急会議。ある上司がそう言って、情報をホワイトボードに整理し始めました。収拾のつかなかった場は落ち着き、終わるころには次のアクションが明確になっていました。「これはすごい! 自分もやってみたい」と思った私。「とりあえず」まねしてみたものの、うまくいきません。上司は「とりあえず書こうと思うだけ偉いわ」と言ってくれたものの、アドバイスもなくそれっきり。モヤモヤ感は募るばかりでしたが、振り返ればあの時が、ファシリテーションを意識し始めるきっかけでした。今、ホワイトボード・ミーティング®でファリシテーションしていると、あのモヤモヤ感がルール化されて明確になり、伏線回収しているような感覚になります。「上司の『とりあえず』を、ファシリテーション技術として昇華できれば、後輩にも継承できるはず」という確信にも変わりました。「さあ愚直に練習を重ね、理想のファシリテーションを目指すぞ!!」と言いたいところですが、理想ばかり考え出すと腰が重たくなる性格。「とりあえず」精神も忘れず、これからも気軽に取り組んでいきたいと思います。

(認定講師リレーエッセイ第85回 2023年9月30日)

 

「とりあえず」気軽に書いてみよう!