例えば
- クラスの話し合いやグループワークをいい感じにまとめられる
- 発言するのが苦手な人も、スムーズに意見を言える
- 上手に話し合いの司会ができる
- クラスやグループのチームワークが高まる
そんな話し合いを可能にするのが「ファシリテーション」という技です。
なんだかちょっといいですよね。
ファシリテーションは、練習すればだれでも身につけられます。
それでいてオトナになってからも、とても役に立つ技術です。
いっしょに学んで行きましょう!
上手な話し合いのポイントはファシリテーション
どうすれば話し合いを上手にできるのでしょうか。みなさんが考える話し合いってどんな感じですか?
- のびのびと意見が言える
- みんなが公平に意見を言える
- 自分の意見が大切にされる
- 話し合いるうちにアイデアが浮かぶ
- 決まったことにみんなが納得できる
- 具体的な行動や役割分担が決まっている
- 決まったことがちゃんと実行される
- チームワークと学びが深まる
どうすれば、このような話し合いができるようになるのでしょうか。ここでポイントとなるのがファシリテーションです。
ファシリテーションとは
英語のファシリテートは 「促進する」とか「容易にする」という意味です 。
ファシリテーションは1人ひとりの意見を生かし、合意形成(みんなで納得して意見をまとめること)や課題解決を進める話し合いの技術。
私たちが本来もつ力を発揮して、みんなで意見を出し合いながら、チームの力を最大化するための技術です。
ファシリテーター とは
ファシリテーション技術を活用して話し合いなどの場を進行する人です。
ファシリテーター は誰もが担える役割です。
みんなで交代や協力をしながら、話し合いや学びの場を進行します。
サイドワーカーとは
話し合いの参加者たちです。良きファシリテーター は、良きサイドワーカーになれます。
うまく進んでいる話し合いは、ファシリテーター の力3、サイドワーカーの力7くらいのバランスで進みます。
ファシリテーター の進行も大切ですが、1人ひとりのサイドワーカーが協力的な態度で参加し、積極的に発言することで話し合いのクオリティがぐんと上がります。
ファシリテーター は決して難しくありません。練習をすれば誰もがファシリテーター になれます!みんなでファシリテーターになろう!
本を読んでファシリテーター の練習をしよう!
小学生のあなたには
ここはある小学校です。5年1組では、子どもたちがファシリテーター になるチャレンジが始まりました。
担任は岩瀬直樹先生です。クラスのリーダーだけではない。クラス全員が交代でファシリテーター になる。
ホワイトボード・ミーティングのファシリテーター になるためのチャレンジが始まりました。
この本をクラスのみんな、先生と一緒に読みながら、みんなでファシリテーター になろう!
中学生・高校生のあなたには
2年1組では、総合的な学習(探究)の時間にグループで取り組むSDGsのテーマについて話し合っています。
ところが、せいや、ゆうか、もえか、はやとのグループは話し合いがうまく進まず、みんなのモチベーションがあがりません。せいやともえかは「なんでもいい」ゆうかは自分の意見が通らずプンプンです。
でも4人がファシリテーションを学ぶと話し合いが進み始めました。
学校の先生のあなたには
先生を対象とした書籍はコチラです。主体的、対話的で深い学びを実現する学級経営や授業に子どもたちと一緒にチャレンジしましょう!
先生も子どもたちも一緒にファシリテーター になろう!
※ホワイトボード・ミーティング®︎ガイドラインをご覧ください!
ちょんせいこからのメッセージ
AIの進化などに象徴される技術革新、
グローバル化など、私たちの社会は急速に変化しています。
また、地球温暖化や海洋汚染、
世界各国の貧困や飢餓の問題、
絶えることのない紛争など、
地球規模の難しい問題にも直面しています。
日本でも災害や事故、いじめ、虐待など
悲しい事件がなくなりません。
これらの課題に取り組んで、
解決へと向かい、差別や格差のない
「より幸せな社会」を築き、
将来にわたって誰もが幸せに生きていくためには、
先人に学びながらみんなで知恵や意見を持ち寄って
新しい「解」を創り出す力が求められます。
そのためには、主体的・対話的に学びを深める
具体的な技術が欠かせません。
この本は、中学生、高校生のみなさんに
話し合いの進行役であるファシリテーターの
技術(ファシリテーション)について伝えています。
この技術をみんながもつと自分や他者の
人権を尊重しながら、意見を出し合い、
学びを深め、課題解決へと向かいやすくなります。
意見を言うのが得意な人も苦手な人も、
互いの意見を聞き合いながら、効率的、
効果的に話し合い進めることができます。
正直に意見を出し合うと、時には対立が
起こるかもしれません。でも、
ファシリテーションを使うと、対立は、
起こっている問題をより深く理解し、
解決へと進める「すてきな学びの種」になります。
そして、この技術はテニスやサッカーやピアノと同じように
練習で身につけることができます。大人にも役立つ技術です。
教室はひとつのコミュニティです。
たまたま同じ年代、近い場所で生まれて、
同じクラスになったのは奇跡のような偶然です。
その偶然を楽しみながら、一人ひとりの可能性を
拓くために毎日の授業で楽しみながら、
主体的、対話的に学びを深めていきましょう。
トライ&エラーも大歓迎。
その経験が確かな学力や生きる力、
楽しい学校生活につながります。
「13歳からのファシリテーション」はじめにより
ファシリテーター 7つの心得
ファシリテーター に求められる心構えを紹介します。話し合いの時だけでなく、普段の会話でも心がけると温かい人間関係を築く上で大変役立ちます。大人になっても大切な考え方です
- 主役は自分ではなくみんなです
- 好意的な関心の態度を示します
- 中立、公平、対等に振舞います
- 上手に頼ることができます
- どん欲に学び、リサーチしよう
- 自分やみんなの強みを生かします
- 振り返りを積み重ねます
サイドワーカーの6つの心得
- 好意的な関心の態度で意見を聞き合います
- 「わからない」も立派な意見です
- 話しすぎない、聞きすぎない
- ファシリテーターに協力します
- 温かい声かけをします
- 批判的思考を差し込みます
ここまで「13歳からのファシリテーション」より引用
ホワイトボード・ミーティング®︎のファシリテーター になろう!
クラスみんなでファシリテーター の練習をしよう!
より幸せな社会をつくるために、私たちはみんなの意見やアイデアを集め、方向性や進む道を決 めます。たとえば、国会゙は国の進む道を話し合います。市・区議会は私たちの住む町について、 児童会は学校について、学級会はクラスについて話し合い、進む道を決めます。
この時、大切になるのは話し合いの進め方です。話し合いがうまく進むとみんなで協力をして、 様々な活動を進めやすくなり、逆に話し合いがうまく進まないと、活動もはかどらなくなるからで す。みんなが納得し、「これでいこう」と思える結論を創り出すためのスキルが必要です。
ホワイトボード・ミーティング®はクラスのみんなで話し合いの進行役のファシリテーターの練習ができる方法です。ひとりやふたりの限られたリーダーだけでなく、クラス全員がファシリテーターの練習をするとクラ スでの話し合いが進めやすくなります。授業や学級活動、係活動など、様々な場面で役立ちます。こどもが主役となって先生と一緒に授業や学級活動を進めやすくなります。
ファシリテーションは練習をすれ ばするほど上手になるので、みんなで楽しみながら練習を進めましょう。 みなさんのチャレンジを応援しています!
ホワイトボード・ミーティング®︎をするとこんな効果があります!
- 友達の話を聞くのが上手になります。
- 思考(考え)や対話(話し合い)が広がり、深まります。
- 話をするのが上手になります。
- 文章を書く力がつきます。
- 自分のことを友達にわかってもらいやすくなります。
- 友達のことがよくわかるようになります。
- いろんなペアで意見を聞き合う(対話)することが楽しくなります。
- グループやクラスでの話し合いがうまく進むようになります。
- クラスにお互いを承認しあう関係が育まれて、信頼ベースのクラスになります。
- 探究的な学びや協働的な学び、そして1人ひとりの学びも深まります。
- 授業や学級活動など、学校が楽しくなります。失敗を乗り越えて強くなります。
- 大人になっても役に立つスキルとマインドが育ちます。
5つの特ちょうがあります
ホワイトボード・ミーティング®︎はたくさんあるファシリテーションの技法のひとつで、2003 年に開発されました。 5つの特徴(とくちょう)があります。
- ホワイトボードに意見を書きながら進めます。書くことで意見を承認します
- 進行役をファシリテーター、参加者をサイドワーカーと呼びます
- ホワイトボード・ミーティング®質問の技カードを使って、オープンクエスチョンで深い情報共有を進めます。
- 話し合いに発散→収束→活用のプロセスを作り、色をわけて書きます。
発散(黒):意見をドンドン出して、オープンクエスチョンで深めます(情報共有)
収束(赤):出た意見を方向づけます(意見の構造化)
活用(青):具体的な行動や活動計画、役割分担を決めます(結論) - 6つの会議フレームを組み合わせて、合意形成や課題解決をはかります。熟練したファシリテーター は、会議フレームを即興的に組み合わせて進行します。
※学級活動や授業では、まず、赤色の3つの会議フレームとアレンジの練習がおすすめです!
定例進捗会議・役割分担会議・企画会議
情報共有会議・課題解決会議・ホワイトボードケース会議
大切なルール
- 失敗、間違いがOKです。安心してチャレンジを繰り返しましょう。
- 言いたくないことは言わないていい。言えることだけで進めましょう。
練習の方法
①まずは、ペアトークからチャレンジしよう!
ペアになり、ホワイトボード・ミーティング®︎質問の技カードでインタビューの練習をします。
9つのオープン・クエスチョンと8つのあいづちだけで「聞く、話す」ペアトークの練習を繰り返します。
となりの席の人と、前後の席の人と、あるいはクラスの名簿に自分で印をつけながらクラス全員と「ホワイトボード・ミーティング®︎質問の技カード」を使ったペアトークを繰り返してみよう。
最初のうちはエピソードを話すのが難しいけれど、私たちのまわりにはたくさんのエピソードがあふれています。
ステキなエピソードの交流ができると、お互いのことがよくわかって友達との関係がポワッと温かくなります。
ペアトーク成功のコツ!最初は話しやすい話題(問い)からスタートしよう!
(例)好きな食べ物・好きなスポーツ・好きな遊び・好きな動物・最近、ハマっていること
慣れてきたら授業の学び(問い)でもチャレンジしてみよう!
(例)物語を読んでの感想・徳川家康はどんな人?・多角形の性質は?・電流の仕組み
②次は、ミニホワイトボードを使って、インタビュー活動にチャレンジしよう!
ペアトークに慣れてきたら、ホワイトボードに聞きながら書くインタビュー活動へと進みます。
まずは、身近なテーマで3色のマーカーを使って、ホワイトボードに聞きながら書いてみよう。
タブレットやパソコン、ノートなどでも同じ活動ができるけれど、まずは、体をお互いに向け合って、消したり、書いたりできるホワイトボードで練習します。
ミニホワイトボードに書けたら、タブレットで撮影をして指定された提出箱などにアップロードします。
インタビュー活動の成功のコツ!最初は話しやすい話題(問い)からスタートしよう!
- ペアにじゃんけんに勝った人が先にファシリテーター をします。
- 負けた人が話し手です。
- ファシリテーター は話し手に発散の問いを投げかけてオープンクエスチョンで聞きます
- 話し手はファシリテーター の問いに答えて思考を深めながら答えます。
- 例えば、以下のようなテーマと発散・収束・活用の問いで取り組みます。
- ファシリテーターは話し手の言葉をホワイトボードに書きます。
- 最後にファシリテーター がホワイトボードを読み上げて交代します。
- ホワイトボードを撮影して写真を提出箱などにアップロードします。
- 作文を書く時などの素材にしたり、振り返りに活用します。
(例)テーマ「最近、がんばっていること」
発散:最近、がんばっていること (2分30秒)
収束:良いこと1つ、困っていること1つ (1分)
活用:これからどうしたい?どうなったらいい?(1分)
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- 時間は目安です。
- 最初は書く分量が少なくても大丈夫です。まずは、黒1行、赤1行、青1行をめざしましょう。チャレンジするうちに黒が2行、3行と増えていきます。
慣れてきたら授業の学び(問い)でもチャレンジしてみよう!
(例)物語を読んでの感想・徳川家康はどんな人?・多角形の性質は?・電流の仕組み