長谷川 洋さん
(群馬県小学校教頭)
子どもたちの健やかな成長に欠かせない、豊かな学び。そのベースが、良好なコミュニケーションだと学びは加速します。そして、子どもたちと同様に、先生も学び続けて成長します。群馬県の小学校に勤める長谷川洋さんは、校内研究協議会にホワイトボード・ミーティング®を取り入れて、良好なコミュニケーションをベースにした若手教員の育成を進めています。
校内研究協議会でホワイトボード・ミーティング®
算数で「長さ」を学ぶ子どもたち。校外学習を楽しんだ小学3年生が「どのコースで行くのが良いのか」を、次の3年生に説明するのが課題です。ミニホワイトボードに自分の考えを書いて、友達と交流し、発表するいつもの授業。少し違うのは、その様子を大勢の先生が参観していることです。放課後には、校内研究協議会が開催され、より良い授業づくりをめざしてホワイトボード・ミーティング®で話し合いが進められます。先生全員が交代でファシリテーターになり、授業の進め方や子どもの様子を振り返るのです。良かった点や課題を出した後は、授業者への温かいメッセージとポジティブなアドバイスがホワイトボードに集まります。「全員が発言できるのが良い。ベテランも若手も自然に話し合えます」と長谷川さん。この研究が若手教員の明日の授業づくりの糧となります。
ホワイトボード・ミーティング®との出会い
適切な課題を設定し、豊かな対話と試行錯誤でチームワークを育みながら、学習のゴールへと進む。そのプロセスに寄り添い、集団をホールドしながら共に歩むのがファシリテーターの役割です。長谷川さんは「学校の先生は、ファシリテーターそのもの」と言いきります。ホワイトボード・ミーティング®との出会いは、プロジェクトアドベンチャーを共に学ぶ教員仲間に誘われたセミナーへの参加でした。「本を読むだけではわからない。実際に体験して初めてわかることがたくさんありました」。早速、授業に取り入れながら学びを積み重ね、ホワイトボード・ミーティング®認定講師資格を取得。現在は、仲間の協力を得て、地元の学校教職員を対象とした「気軽な勉強会」を公民館で開催しています。「打合せもホワイトボード・ミーティング®で短時間で効果的に話し合っています。そのプロセスも楽しく、みんなの力を感じます」。
教育のバトンを渡す
高校2年生の頃、地元のリーダーズクラブに入会し、キャンプファイヤーやリクレーションの進行をしていた長谷川さん。ある地域の会長が子どもや大人を巻き込んで、上手に場づくりを進める様子に驚き「自分もこんなふうに遊びを提供したい」と実感しました。どうすれば、そうなれるのか。「大人になってプロジェクトアドベンチャーに出会い、遊びにも理論があることを学びました」。学ぶと決めたらトコトン学ぶ。だから若手教員にも「優れたプロフェッショナルや身近なモデルに学び、理論と実践を往来しながら自分に合う教育技術を見つけ、チャレンジしてほしい」と願っています。現在の勤務校は母も教員として勤めた現場。多くの先輩教員に学び、渡されたバトンを次の世代に渡すために。長谷川さんの温かいチャレンジがスタートしています。