【記事】様々な「違い」を乗り越え、つないでいくスキル(第59回)細尾学さん

私は聴覚支援学校の教員です。自分自身ろう者であり、授業も手話で行っています。実は、学校の子どもたちはそれほど手話が上手ではありません。ほとんどの聴覚支援学校では、聴覚口話法を基本にしているため、手話はあくまで「手段」という位置付けになりがちです。従来、聴覚補償は補聴器だけでしたが、テクノロジーの進歩により、人工内耳という大きな選択肢が登場。「人工内耳をしたのだから、聞こえの訓練を優先したい」と、手話に否定的な保護者も少なからず存在します。メディア的には一見華やかに映る手話ですが、聴覚障害教育の現場では、徐々に少数派になりつつあるのが実情なのです。聴覚支援学校は、様々なコミュニケーションモードの子たちのるつぼ。ホワイトボード・ミーティング®︎は、「情報の可視化」という特性により、手話派・非手話派といった「違い」を乗り越え、双方をつなぐことができるスキルです。このことを、聴覚障害教育の現場でしっかり訴えたいと思っています。

(認定講師リレーエッセイ第59回 2022年7月3日)

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