「子供たちがファシリテーションの技術を身に付けると、学びが深まる」ことを、私はこの10年間でたくさん目の当たりにしてきました。子供たちから出てくる言葉は、まず「授業が楽しい」です。ほとんどの児童が「授業が楽しかった。またやりたい」と言い、意欲の高まりが感じられます。何かトラブルが起きたときも、ホワイトボードを使って誰かがファシリテーターをして解決に向けて話し合っています。「自分たちで」という実感が、ぐんぐん子供たちを成長させていきました。まさに「主体的な学び」です。以前、新聞社の方が授業を観たときに、「話し合いが活発なクラスですね。こんなクラスはなかなか見ません」と言われました。模範授業を観た先生からは、「何でこんなに話せるのですか」という声も聞かれます。また、興味を持った先生から、「やってみたけれどうまくいかないから止めました」という声も聞きます。大切なのは、すぐに結果を求めないこと。ある瞬間にグッと子供たちが伸びます。そこまで温かく、しっかりとアセスメントしながら見守り、大きな花が咲くのを待っていれば、子供たちの力はきっと伸びていきます。
(認定講師リレーエッセイ第87回 2023年10月5日)