【記事】日常と未来への繋がり 〜大切にしたいファシリテーションの力〜(第64回)

 

 

 

 

 

 

日常と未来への繋がり
〜大切にしたいファシリテーションの力〜

     

逢坂 直子

(徳島県立みなと高等学園)

 

 

 

特別支援学校高等部は、人生の大切な岐路。これからどんな人生を歩みたいか、進路学習の中で、生徒は何度も自問自答します。将来への不安から押しつぶされそうになった時、教室では、生徒同士の小さな「お悩み相談会」が開かれます。ホワイトボード・ミーティング®︎を学んだ生徒は、「大丈夫、大丈夫」「もう少し詳しく教えて」と声をかけます。そんな姿をたくましく感じながら、私はただ眺めています。誰かに聞いてもらえる安心感。そして、誰かの力になれる自己有用感。その相互作用が、素敵なファシリテーターを育てます。多くの生徒が障がい者雇用で就労する本校では、この「相談スキル」は大きな鍵になっています。自分一人で抱え込まず、誰かに話をする。誰かのために話を聞くことができる。課題に対して自分がどうしたいかを表明していく。そして、誰かの意見に対し、愛のあるアドバイスができる。これは、幸せな人生を歩む同志(ピア)として、大切な力でもあります。日常の積み重ねが、未来をたくましく生きる子どもを育むからこそ、大切にしたいファシリテーションの力です。

(認定講師リレーエッセイ第64回 2022年9月22日)

 

生徒同士の小さな相談会。「もう少し詳しく教えて」