【記事】国語の授業のはじめ方

 

 

 

この記事は、2017年2月18日に開催された「信頼ベースの学級ファシリテーションセミナー」において、参加者の振り返りを促進するための資料として作成されたものです。当日、ゲストとしてお招きをした石川晋さんのワークショップについて説明しています。
 
 
PDFファイル 国語の授業のはじめ方(石川晋氏)
 
 
国語の授業のはじめ方
 
 
教科書を開き、2ページの文章を音読すると、何分かかるのだろうか。
 
 
「1ページ1分強ですから2分強。これを4月の授業開きの段階で生徒に伝え、教材文の全体を確認して、全体の分量などを最初に大づかみすることも教えます」と石川晋さん(北海道上士幌中学校)は語る。例えば山を登るときには、標高を調べ、登頂ルートを選び、装備を確定し、万全を期してから「さあ、登ろう」となる。これと同じような見通しが、教科書を読むときにも必要だと石川さんは話す。「遭難者」を出さないためだ。
 
 

進め方はシンプルだ。まず生徒は、教材文を黙読する。
わからない漢字に線を引く「情報読み」で読み進めるのがポイントだ。
 
 
「大人になるとほとんどが情報読みになります。みなさんの親は朝から新聞を全部は読まないでしょう。ざっと全体を見たら、自分に関係のある部分を選んで読みます。みなさんだって、きっとテレビ欄を一番に見るでしょう。それも興味のあるドラマや野球放送から読みます。これが情報読みです」。
 
 
次に石川さんによる範読。この時、読めなかった漢字に生徒はルビをふり、その後、4人グループになって「1文読み」で進める。北海道の平山雅一さんが開発した「グループ音読」だ。グループで力を合わせて読むのが心地良い。すぐに順番がまわってくるから、生徒は集中して参加する。こうして教材文の見通しをみんなでザッと確認してから、いよいよ物語へと入っていくのだ。
 
 
2017年2月18日。大阪で開催された石川さんのワークショップでは、参加者が生徒と同じ道筋で教材文を読み進めた。「黙読は音読の3倍の速さで読めます。では、どうぞ」。一文読みでは、4人でタイムチャレンジすると笑い声や拍手に混じって、「悔しい」「もう1回やりたい」の声が聞こえてくる。そして、すでに三回、全文を読み終えている。石川さんのファシリテーションに誘われて、いつの間にか物語の入り口に装備を整えて立っている私たち。
 
 
「作者がこのタイトルをつけたのには、どんな意味があると思いますか。
 ちょっとグループで話しあってみてください」
 
 
作者が見た情景の読み解きが、いよいよ、これから始まるのである。
 
(文 ちょんせいこ)